日時

令和5年7月31日月曜日午後2時から4時まで

場所

防災センター302会議室

出席者

議長:谷川章雄

副議長:塩澤寛樹

委員:坪西由美子、寺田良喜、長沢利明

事務局:鎌谷京子、宇佐美哲也、清水聡(社会教育課)

欠席者

なし

議題

  1. 議長・副議長の選出について
  2. 令和5年度事業計画について
  3. 古民家園内の市文化財建造物の修繕等について
  4. 狛江市文化財の指定の候補について
  5. 狛江市文化財保護条例の改正に向けた考え方について

その他

提出資料

  • 令和5年度文化財保護事業計画(案)
  • 令和4年度埋蔵文化財発掘調査一覧
  • 埋蔵文化財年度別発掘調査件数及び事務処理件数
  • 令和4年度埋蔵文化財発掘調査地点
  • 令和4年度狛江市立古民家園(むいから民家園)入園者数
  • 令和4年度文化財建造物(古民家園内)の修繕について
  • 狛江市文化財の指定の候補について
  • 狛江市文化財保護条例改正に向けた考え方について
  • 文化財の種別について
  • 審議会等名称
  • 指定・登録文化財制度
  • 文化財保護法の一部を改正する法律の概要

会議の結果

  • 会議に先立ち社会教育課長挨拶。
  • 事務局自己紹介。
  • 事務局で開会を宣言。
  • 議題1の審議に入る。
議題1.議長・副議長の選出について
  • 事務局から、文化財専門委員の会議の議長・副議長については、狛江市文化財保護条例施行規則第6条の規定により、任期が1年となっており、委員の互選で毎年選出していただいていることを説明しました。
  • 議長については谷川委員が、副議長については塩澤委員が、全会一致で選出されました。
  • 進行を谷川議長に交代し、議題2へ。
議題2.令和5年度事業計画について
  • 事務局から、令和5年度の事業計画(案)について、令和4年度の事業の実施結果報告を含めて、下記の通り説明しました。
  • 文化財の調査については、各種文化財の調査を適宜行うとともに、文化財総合調査として、引き続き、亀塚古墳の再評価のため、出土遺物の再調査を進めていきます。
  • 文化財の管理・保存については、白井塚古墳公園の開園に向けた調整・調査等を進めていきます。また、古墳保存整備検討委員会において、市内の古墳の保存整備や活用方法等について検討していきます。
  • 史跡等の管理は、兜塚古墳、教育発祥の地、万葉歌碑周辺の維持管理等を行います。
  • 文化財保存事業費補助金は、本年度も祭ばやしの保持団体に交付する予定です。
  • 寄贈資料の受け入れは随時行い、発掘調査にて出土した遺物等と合わせて、今後の活用に向けた適切な管理・保存方法を検討していきます。
  • 文化財の活用については、東京文化財ウィーク2023へ参加し、期間内に文化財めぐりや文化財関連講座等を実施する予定です。また、文化財関連展示の実施や文化財誘導板の設置を予定しています。学校との連携としては、引き続きこまえ文化財ガイド1~3の印刷配布を行い、小学6年生を対象とした出前講座を実施します。
  • 文化財防火デーは、例年どおり狛江消防署の取組みに協力していきます。
  • 埋蔵文化財の保護については、埋蔵文化財の照会対応、事前協議、各種開発に対応した確認調査や本調査の調整、指導・監理などを行います。令和4年度の発掘調査の件数は、確認調査が11件、本調査が2件となりました。本調査のうち1件は、白井塚古墳の古墳公園整備に先立つ本調査で、墳頂北寄りから3基、南寄りから1基、計4基の礫槨が検出されました。もう1件は、泉龍寺の境内で実施しており、中世の地下式坑等が検出されました。試掘調査は11件実施し、うち3件は周知の埋蔵文化財包蔵地外である多摩川住宅の建替え計画に先立ち多摩川沿いの沖積低地を対象に実施したものです。令和4年度の試掘確認調査では、明確な遺構や遺物は確認されませんでしたが、引き続き、令和5年度にも試掘調査を実施しており、縄文時代晩期頃の土器や、弥生時代頃の住居跡などが検出されています。
  • 古民家園の管理・運営については、維持管理、体験教室や講座等の事業を実施しています。令和4年度の入園者は、16,234人で、令和3年度と比べると2,640人の減となりました。その要因は、令和4年11月14日から令和5年3月16日まで、旧荒井家住宅主屋の茅葺屋根の葺き替え工事を実施し、工事期間中は、建物内と園庭の大部分への立ち入りを制限していたためと考えています。
  • 歴史公園の管理については、猪方小川塚古墳公園と亀塚古墳公園、土屋塚古墳公園の維持管理を行います。また、公開に当たり保存処理を施した猪方小川塚古墳の横穴式石室については、保存状況の経過観察を行い、状況に応じて必要なメンテナンスを行っていきます。
  • 以上の説明の後、議題2の令和5年度事業計画については全会一致で了承されました。
議題3.古民家園内の市文化財建造物の修繕等について
  • 事務局から、古民家園内にある2棟の市文化財建造物の修繕等について、下記のとおり説明しました。
  • 市文化財である旧荒井家住宅主屋は、移築・復元から20年が経過し、経年劣化に加えて、台風や局所的な大雨などの影響により、煙出しを含めた棟部分の痛みが著しくなり、雨漏りの原因となっていたこと、北側の角屋の谷部分を中心に茅の脱落が著しく、陽当りが悪い北面では茅の表面に苔が発生していたことなどに加え、全体的に茅が痩せて、表層の茅の一部が脱落し、表層の茅を押えている竹材(押さえ竹・ほこ竹)が露出し、屋根表面に縞状の段差が生じるなど、屋根全体が雨水等の影響を受けやすい状態になっていました。
  • 現状を放置し、屋根の梁組みや小屋組みまで影響が及ぶようになると、文化財建造物としての保存に影響が生じ、建物躯体を含めた本格的な修繕が必要になる事態が想定されること、景観上も好ましい状態ではないことなどから、開園20周年を機に、茅葺屋根の全面葺き替えを行いました。具体的には、茅葺屋根のうち、軒付け部分のみを残しすべての茅を取り換え、棟も新材を用いて旧状に復しました。
  • なお、期間中、古民家園は通常通り開園し、葺き替え作業の様子をフェンス越しに常時公開し、古民家園Twitterでは葺き替え作業の様子を逐次発信するとともに、工事の様子をタイムラプス動画に編集し公開しました。なお、令和4年12月24日には葺き替え工事の解説見学会を開催し、51名の参加がありました。
  • 同じく市文化財である旧髙木家長屋門については、南面の軒の出が浅く風雨にさらされるとともに、陽当たりが良い場所でもあることから、外壁の竪下見板の複数箇所で割れや反り返りが見られる状態でした。割れ目から下地に雨水等が侵入する状態であり、そのままの状態であると、建物躯体に影響が及ぶことが想定されました。
  • 竪下見板は、移築復元に際して、新材を用いて旧態に復した部分であることから、建物躯体に影響が及ぶ前に、取り換えることとしました。修繕では、押縁、見切板を含めて下見板を取り除き、それらを留めていた和釘については回収しました。また、下地となっている既存合板に、防水のためのアスファルトルーフィングを張り、下見板を取り付け後、見切板、押縁杉板を取り付け、回収した和釘を用いて旧態に復しました。和釘の不足分は、新たな和釘で補っています。なお新材の杉板は国産とし、加工後十分に乾燥させたもの(約4月間)を用い、木材保護塗料を2回塗布し、耐久性を高めるとともに古色仕上げとしています。
  • 旧荒井家住宅主屋と旧髙木家住宅長屋門は、ともに市指定の文化財建造物であるため、今回の修繕に当たり、文化財建造物における現状変更等の手続きについて整理していますが、現状変更等の手続きは、旧材を用いて移築・復元した文化財建造物としての本質を担う部分の変更を対象としており、屋根の葺き替え工事は該当しないものとしました。
  • 委員からは、今後の修繕においては、同一部位の修繕が複数年度にまたがると、同質の材料が揃わなくなる可能性も考えられることから、同一部位の修繕については、可能であれば、今回の修繕のように一度に修繕をすることが望ましいとの意見が出されました。
  • また、委員からはふるさと納税の制度を使ったクラウドファンディングの成果についての質問が出され、事務局からは、177万8,000円の寄付があり、市内・市外の割合は半数ずつであったことを報告しました。
  • 委員からは、古民家園内の文化財建造物における修繕の基本的な考え方については、資料通りで良いと考えるが、規模や金額面など状況に応じて弾力的に運用すべきとの意見が出されました。
議題4.狛江市文化財の指定の候補について
  • 議長から、本議題については、指定候補の文化財についての議事であり、所有者に関する情報や価値判断を伴う内容となるので、非公開とすることを説明し、全会一致で非公開を決定しました。

(理由)文化財の指定及び解除等重要事項の審議、指定候補の文化財に関する議事等については、所有者に関する情報や価値判断を伴う審議となるため、非公開とする。

議題5.狛江市文化財保護条例の改正に向けた考え方について
  • 事務局から、狛江市文化財保護条例の改正に向けた考え方について、下記のとおり説明し、委員から意見を求めました。
  • 現行の文化財保護条例では、①文化財の種別が、東京都文化財保護条例や文化財保護法等の上位法と整合していない状態にあること、②文化財専門委員についての規定はあるものの、文化財保護法第190条に基づく「地方文化財保護審議会」であるとの位置づけが明示されていないこと、あわせて、③令和4年4月の文化財保護法の改正による地方登録制度の導入について検討が必要な状況です。
  • 委員からは、指定文化財の種別について、基本的には東京都文化財保護条例に従う形で良いが、民俗技術や文化的景観といった、東京都が取り入れている種別をどう取り扱うのか検討が必要との意見が出されました。また、旧跡は入れない方が良いとの意見が出されました。
  • 委員からは、文化財専門委員について、文化財保護法に基づき、文化財保護審議会とすべきとの意見が出されました。
  • 委員からは、地方登録制度については、登録件数が多く指定件数が少ない自治体や、登録を指定の候補のように扱っている自治体、登録を経なければ指定できないような取扱いを行っている自治体など様々であり、登録に際しては審議会を経ずに報告のみという自治体や、逆に登録の審議を厳密に行っている自治体もあるなど、自治体によって考え方が様々であるのが現状であり、考え方次第であるとの意見が出されました。
  • 委員からは、保護対象の文化財の裾野を広げるという意味で、登録制度は有効であるが、指定の要件は現状維持し、登録はあくまでも裾野を広げる役割として想定した方が良いとの意見が出されました。あわせて、委員からは、まず登録制度を設けた上で、運用について、時間をかけて検討しても良いのでは、との意見が出されました。
  • 以上、各委員からの意見を踏まえて、文化財の種別について上位法との整合をとること、文化財専門委員について、地方文化財保護審議会としての位置づけを明記し名称・役割等を整理すること、登録制度の導入については、周辺自治体の状況を踏まえて整理し、改正に向けて検討を進めることについて、全会一致で了承を得ました。
その他
  • 次回の会議については、秋頃の開催を予定していますが、開催日程については後日改めて事務局にて調整することとなりました。
  • 議長、閉会を宣言。

文化財専門委員名簿

議長

谷川章雄

副議長

塩澤寛樹

委員

坪西由美子、寺田良喜、長沢利明

公募市民委員がいない理由

狛江市文化財の指定及び解除等重要事項を審議するために専門的な知識が要求されるため。