日時

令和3年7月26日月曜日午前10時から11時30分まで

場所

市議会第二委員会室

出席者

議長:冨永春芳

委員:井上孝、塩澤寛樹、坪西由美子、寺田良喜、長沢利明

事務局:森厚太、宇佐美哲也、松下祐三(社会教育課)

欠席者

小町守、谷川章雄

議題

  1. 議長・副議長の選出について
  2. 令和3年度事業計画について
  3. 狛江市文化財の指定の解除について
  4. 歴史公園(古墳公園)の整備について
  5. 文化財保護法の一部を改正する法律等の施行について
  • その他

提出資料

  • 令和3年度文化財保護事業計画(案)
  • 埋蔵文化財年度別発掘調査件数及び発掘届出等文書処理件数
  • 令和2年度埋蔵文化財調査一覧
  • 令和2年度埋蔵文化財調査地点
  • 令和2年度狛江市立古民家園入園者数
  • 令和2年度狛江市立古民家園事業参加者数
  • 狛江市文化財の指定の解除について(諮問)(写)
  • 狛江市文化財の指定の解除について(答申)(案)
  • 狛江市文化財保護条例(抄)
  • 猪方小川塚古墳の東京都指定史跡の指定について
  • 狛江市指定文化財一覧
  • 土屋塚古墳公園の整備について
  • 白井塚古墳公園の整備について
  • 狛江市歴史公園条例
  • 狛江市歴史公園条例施行規則
  • 文化財保護法の一部を改正する法律等の施行について(通知)(写)
  • 参考資料:狛江市文化財保護条例、狛江市文化財保護条例施行規則

会議の結果

  • 会議に先立ち社会教育課長挨拶。
  • 委員自己紹介。
  • 事務局で開会を宣言。
  • 議題1の審議に入る。
議題1.議長・副議長の選出について
  • 議長については冨永委員が、副議長については谷川委員が、全会一致で選出されました。
  • 進行を冨永議長に交代し、議題2へ。
議題2.令和3年度事業計画について
  • 事務局から、令和3年度の事業計画について、令和2年度の事業実施結果報告を交えながら説明しました。
  • 文化財の調査については、各種文化財の調査を適宜行うとともに、文化財総合調査として、亀塚古墳の再評価のため、東京国立博物館・國學院高等学校等に所蔵されている同古墳出土遺物の整理を引き続き進めていきます。
  • 文化財の管理・保存については、歴史公園の開園に向けた工事・調整として、白井塚古墳公園の開園に向けた調整等を進めていきます。また、古墳保存整備検討委員会において、市内の古墳の保存整備や活用方法等について検討していきます。
  • 史跡等の管理は、兜塚古墳、教育発祥の地、万葉歌碑周辺の維持管理等を行います。文化財保存事業費補助金は、本年度も祭ばやしの保持団体へ交付する予定です。寄贈資料の受け入れは、随時行い、発掘調査にて出土した遺物等の資料を含め、適切な管理・保存方法を検討していきます。
  • 文化財の活用については、関連展示の実施や文化財説明板の設置を予定している他、学校との連携として、引き続きこまえ文化財ガイド1~3の印刷配布を行い、小学6年生を対象とした出前講座を実施していきます。 文化財防火デーは、例年どおり狛江消防署の取組みに協力していきます。
  • 埋蔵文化財の保護については、埋蔵文化財の照会対応、事前協議、市内遺跡の調査や本調査の指導・監理などを行います。昨年度の埋蔵文化財に関わる事務処理状況は、966件の照会があり、そのうち発掘の届出・通知がなされたのは125件で、試掘調査は7件、本調査は、小足立中村南遺跡、箕和田・北久保遺跡、圦上北遺跡の3件を実施しました。
  • 古民家園の管理・運営については、令和2年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4~5月を臨時休園とした他、6月も1時間当たりの入園者数を制限する等、感染拡大防止策を実施しながらの開園となり、前年度までと比べて入園者数は大きく落ち込み、12,639人となりました。同様に、古民家園における事業につきましても予定していた事業の多くを中止せざるを得ない状況でしたが、夏の子ども向け事業につきましては、募集人員を減らして回数を増やす等、対策を取りながら実施しました。なお、令和3年度には、旧荒井家住宅主屋の畳替えを予定しています。
  • 歴史公園の管理については、令和2年4月に開園した猪方小川塚古墳公園、亀塚古墳公園に加え、令和3年4月に開園しました土屋塚古墳公園の維持管理を行ないます。また、猪方小川塚古墳公園では、引き続き横穴式石室の保存処理状況の経過観察を行い、状況に応じて必要なメンテナンスを検討していきます。
  • 以上の説明の後、議題2の令和3年度事業計画については全会一致で了承されました。
議題3.狛江市文化財の指定の解除について
  • 事務局から、令和3年7月16日付けで教育委員会教育長から文化財専門委員の会議議長あてに、狛江市文化財の指定の解除について諮問がなされたことを説明しました。
  • 今回の指定の解除は、平成25年6月24日に指定した市史跡猪方小川塚古墳及び市重宝(考古資料)猪方小川塚古墳出土遺物が、東京都文化財保護条例第33条第1項の規定による東京都指定史跡として指定されたため、狛江市文化財保護条例第8条第4号の解除条項に該当するための解除であり、狛江市文化財保護条例第3条の規定に基づき、指定の解除について教育委員会から諮問されたものであることを説明し、あわせて指定の解除についての答申案の内容を説明しました。
  • 以上の説明の後、議題3の狛江市文化財の指定の解除についての答申案は、全会一致で了承されました。
議題4.歴史公園(古墳公園)の整備について
  • 事務局から、令和3年4月1日に開園した土屋塚古墳公園の整備について報告し、今後の白井塚古墳公園の整備について説明しました。
  • 土屋塚古墳は、比較的遺存状態が良好な古墳として、昭和61年に市史跡に指定されています。平成16年、墳丘東側に隣接する集合住宅の建設に伴う発掘調査を実施した結果、東側に小規模な造出を持つ径35.2m、高さ4.4mを測る円墳で、その外周に幅10.3mの周溝が取り巻くことが確認されました。周溝からは大量の円筒埴輪・朝顔型円筒埴輪が出土し、5世紀半ばに築造された古墳であることが判明しています。
  • その後、平成26年7月には、墳丘の西側半分が所有者から市に寄附されたため、市道側に大きく傾いた樹木の伐採と市道沿いの擁壁の整備を行い、文化財説明板を設置しました。しかし、北側の宅地との境界が未整備であったことや、市道側に向けて設置した説明板の設置方法等を見直す必要がありました。そこで、残された墳丘の形態・規模・雰囲気を損なわずに、北側の宅地との境界を整備するとともに、墳丘にかからない敷地の北西角部分を整備し、敷地内から墳丘を見学し説明板が読めるよう整備したものです。
  • 整備工事に先立って、令和2年11月2日付けで狛江市長から市史跡における現状変更許可申請が提出され、11月5日付けで許可したことを説明しました。なお、工事に当たっては、墳丘の範囲確認調査及び掘削範囲の確認調査等を実施しています。
  • 引き続き、事務局から白井塚古墳の公園化に向けたこれまでの経緯及び整備について報告しました。
  • 白井塚古墳は、これまでの調査から直径36m内外、高さ3.5mの円墳で、周りに幅約2mのテラスが巡り、その外側に幅10m前後、深さ1mの周溝が取り巻いているものと想定され、昭和51年の発掘調査によって、墳丘西側の断面が調査され、墳丘の築造過程が明らかにされています。
  • 狛江古墳群は、直径30~40mほどの円墳が集中して残されていることが大きな特徴であり、墳丘が残された数少ない古墳のなかで、白井塚古墳は狛江古墳群に造営された典型的な古墳の様相を示すひとつであること、また、墳丘の西側・南側が大きく削平された状態でり、将来的に墳丘の一部が崩壊する危険性が考えられること等から、古墳公園として保存・整備を行う対象としたこと等を説明しました。
  • 公園化に向けた経緯は、平成27年12月15日に調布都市計画公園8・2・3号白井塚公園として決定告示し、平成29年度から令和2年度にかけて市が用地取得を進め、令和2年度に用地取得が完了しており、今後、令和3年度に公園の設計、令和4年度に整備工事を予定しています。
  • 用地取得が完了した後、令和3年3月12日から19日にかけて、墳丘の再測量と試掘調査を実施した結果、墳丘は、昭和51年の調査当時とあまり変わらない状態であること、墳頂ほぼ中央部に主体部が残されている可能性が高いこと、墳頂北寄りで礫槨あるいは葺石の一部と考えられる円礫の集中部が検出されていることを説明しました。
  • 具体的な整備の方策については、再度、試掘調査などを行いその成果を含めて、狛江市古墳保存整備検討委員会で審議いただきながら検討していく予定であることを説明しました。
  • 委員からは、白井塚古墳は昭和50年代に墳丘の西側・南側が大きく削平され、これまでそのままの状態となっており法面崩落の危険性が高いため、何らかの方策で整備されることは望ましいとの意見がありました。
議題5.文化財保護法の一部を改正する法律等の施行について
  • 事務局から、令和3年4月16日に「文化財保護法の一部を改正する法律」(以下、「改正法」)が成立したことについて、文化庁次長通知(写)に基づき情報提供を行いました。
  • 改正法の概要は大きく2点で、一つは無形文化財及び無形民俗文化財について登録制度が新設され、6月14日から施行されたこと、もう一つは、地方における登録制度が文化財保護法上の制度として位置付けられることで、こちらは令和4年4月1日に施行されます。
  • 改正法における地方登録制度は、国指定文化財、国の登録文化財及び地方指定制度に基づく指定文化財以外の文化財で、当該地方公共団体の区域に存在するもののうち、その価値に鑑み保存及び活用のための措置が特に必要とされるものを当該自治体の文化財に関する登録簿に登録できるとしたものであり、合わせて地方公共団体は地方登録文化財のなかで国の登録原簿に登録されることが適当であると考えられるものがあるときは、文部科学大臣に対して国の登録原簿に登録することを提案できるとされています。
  • これまで各地方公共団体では、地域の実情に応じて独自に文化財の登録制度が設られており、都道府県では3府県、市区町村では83の市区町村が登録制度を導入しています。都内では、23区のうち16区において、26市では6市において登録制度が設けられています。
  • なお、地方登録制度における登録基準や規制、補助制度の在り方は各地方公共団体の判断に任されるものですが、地方公共団体においては、令和3年度中に地方登録制度の導入について検討を進めることが求められており、今後、登録制度の導入について検討するとともに、必要に応じて条例改正等も検討していく必要がある旨を説明しました。
  • 委員からは、登録制度は指定制度に比べて、緩く広くという趣旨の制度であり、特に建造物や史跡の場合、登録制度が必ずしも文化財の散逸・滅失を抑止する方策とはなり得ないという意見がありました。
  • 委員からは、指定と同様の調査研究を経た上で、指定の候補という位置付けで積極的に登録を進めている事例もあり、文化財をできる限り後世に残していくという意味では、登録制度を上手に活用していくこともあり得ることで、どのように運用していくかが重要であるとの意見が出されました。
  • 事務局としては、引き続き、情報収集に努めるとともに、他の自治体の事例なども参考にしながら検討を行い、次回以降の会議で報告したい旨を説明しました。
その他
  • 現在実施している「歩こう!狛江の古墳」ウォークラリーの概要及びパンフレット・古墳カードについて説明しました。
  • 次回の会議については、秋頃の開催を予定していますが、開催日程については後日改めて事務局にて調整することとなりました。

議長、閉会を宣言。

文化財専門委員名簿

議長

冨永春芳

副議長

谷川章雄

委員

井上孝、小町守、塩澤寬樹、坪西由美子、寺田良喜、長沢利明

公募市民委員がいない理由

狛江市文化財の指定及び解除等重要事項を審議するために専門的な知識が要求されるため。