東京都指定史跡  猪方小川塚古墳

猪方小川塚古墳は、東京都内に現存する横穴式石室の中でも遺存状態が極めて良好で、6世紀以降の多摩川流域における切石積横穴式石室の伝播や展開、首長墓の系譜を考える上で欠くことができない学術上価値が高い古墳として、東京都の史跡に指定されました。

史跡の概要

平成23年度に宅地開発に伴う発掘調査によって、狛江古墳群のなかで横穴式石室墳であることがはじめて確認された古墳です。墳丘の大部分はすでに削平されてしまっていましたが、周溝の規模から、もともとの墳丘の規模は直径15~20メートルほどと想定されます。遺存していた横穴式石室は、玄室と前室からなる複室構造の石室で、奥壁と側壁は泥岩による切石切組積みで構築されています。床面には大きさが異なる礫が敷き詰められ、玄室と前室の違いが意識された作りになっています。
石室内からは、金銅製耳環、鉄鏃、刀子等が出土しています。金銅製耳環は、銅地に金鍍金が施され、玄室奥から「対」の状態で出土しました。鉄鏃は、7世紀半ばに造られたと考えられ、古墳の築造時期を知る上で貴重な資料です。周溝からは9世紀後半の灰釉陶器瓶、墳丘上からは中世の銅銭が出土しており、古墳廃絶後の古墳の位置づけや再利用を考える上で貴重な資料です。

狛江市教育委員会では、平成25年6月に、猪方小川塚古墳を市史跡に、猪方小川塚古墳出土遺物を市重宝(考古資料)に指定し、石室を含む古墳の保存整備工事を進め、令和2年4月1日に猪方小川塚古墳公園として開園しました。
そして、令和3年3月、東京都の史跡に指定されました。


【写真】発掘調査当時の猪方小川塚古墳


【写真】石室内から出土した耳環

猪方小川塚古墳出土遺物
【写真】周溝から出土した灰釉陶器瓶と石室上部から出土した須恵器


【写真】猪方小川塚古墳公園

指定年月日

令和3年3月19日

金銅製耳環2点、鉄鏃14点、刀子2点、棒状鉄製品9点、須恵器長頸瓶1点、須恵器大甕片13点、灰釉陶器瓶1点、銅銭3点

種別

史跡

所在地

狛江市猪方三丁目21番29号

所有者(管理者)

狛江市(狛江市教育委員会)

問い合わせ

教育部社会教育課文化財担当

電話:03-3430-1111(内線2371)